第12回: プロジェクト始動:チームビルディングと課題設定
1. 最終課題のテーマ発表
DX入門のゴールは、知識を覚えることではなく、使えるようになることです。最終課題として、以下のテーマに取り組んでもらいます。
- テーマ: 「キャンパスライフ × DX」
- ミッション: 「岩崎学園 情報科学専門学校(ISC)での学生生活、または運営における課題を発見し、デジタル技術を用いて解決策(ソリューション)を提案せよ。」
2. チームビルディングと役割分担
DXはチーム戦です。第9回で学んだ「人材タイプ」を参考に、チーム内で役割を決めましょう(※1チーム3~5名を想定)。
- プロジェクトリーダー (PM): 全体の進行管理、メンバーの調整役。
- アイデアプランナー: 課題発見と解決策のアイデア出しをリードする。
- テックリード: どの技術(AI, IoT, Web等)を使えば実現できるか、技術的裏付けを考える。
- デザイナー/ドキュメンター: 発表資料やプロトタイプの作成をリードする。
ポイント: 役割は固定ではありません。お互いの得意分野を活かしつつ、苦手な部分は助け合う「協創」の精神を忘れないように。
3. 課題の発見 (As-Is)
まずは「現状(As-Is)」を正しく把握することから始めます。「なんとなく不便」ではなく、具体的な事実に基づいて課題を特定します。
- 観察: 普段の学校生活を観察する(登下校、授業中、ランチタイム、放課後など)。
- インタビュー: 友人や先生に「困っていること」を聞いてみる。
- データ: もし利用可能なら、アンケート結果などのデータを参照する。
【第12回 課題】チーム結成と課題定義シート
テーマ: プロジェクトの出発点
内容: チームで話し合い、以下の内容を「企画書(ドラフト版)」として提出してください。
- チーム名 & メンバー役割
- ターゲット: (誰の課題を解決するのか? 例:就活中の2年生、食堂を利用する学生)
- 発見した課題(Pain Point): (具体的な困りごとは何か? 例:雨の日に傘立てが溢れていてストレス)
- なぜそれを解決したいか: (熱意や動機)
第13回: アイディエーション:デザイン思考で解決策を導く
1. 「あるべき姿(To-Be)」を描く
課題が決まったら、いきなり「アプリを作る」と手段に飛びつくのではなく、「どうなればハッピーか (To-Be)」を定義します。
- 課題: 「傘立てが溢れている」
- To-Be: 「雨の日でもスムーズに傘を預けられ、取り間違いもなく、ストレスフリーな状態」
2. アイデア発散 (ブレインストーミング)
To-Beを実現するためのアイデアを質より量で出します。
- IoTセンサーで空き状況をスマホに通知する?
- 顔認証で傘をロックする?
- そもそも傘を持たずに済むシェアリングサービスを作る?
手法:
- マンダラート: テーマを中心に置き、関連するキーワードを広げる。
- SCAMPER法: 既存のアイデアを「代用できないか?」「逆にできないか?」など視点を変えて考える。
3. ソリューションの絞り込み
出たアイデアの中から、以下の3つの視点で評価し、一つに絞り込みます。
- Desirability (有用性): ユーザーは本当にそれを欲しがるか?
- Feasibility (実現可能性): 技術的に実現可能か?(学生レベルでのプロトタイプ作成が可能か)
- Viability (持続可能性): コストに見合う効果があるか?
【第13回 課題】ソリューション概要書の作成
テーマ: 解決策の具体化
内容: 絞り込んだアイデアについて、以下の項目をまとめてください。
- ソリューション名: (キャッチーな名前をつける)
- 活用するデジタル技術: (AI、IoT、Webアプリ、VRなど)
- 機能概要: (何ができるのか)
- ユーザー体験 (UX) シナリオ: (ユーザーがいつ、どこで、どうやって使い、どう感じるかのストーリー)
第14回: プロトタイピングとプレゼン準備:伝える技術
1. プロトタイプ(試作)を作る
言葉だけで説明しても伝わりません。「百聞は一見に如かず」です。実際に動くものでなくても構いません。イメージが伝わる「試作品」を作ります。
- ペーパープロトタイプ: アプリの画面遷移を手書きで紙に書く。
- 画面モックアップ: Figma や PowerPointで画面イメージを作る。
- 動作デモ: 実際にセンサーが反応する様子を動画に撮る(IoTの場合)。
2. プレゼンテーションの構成(ストーリーテリング)
聞き手(評価者)を納得させる構成を組み立てます。ISCの授業「プレゼンテーション技法」や「ロジカルライティング」で学んだことを思い出しましょう。
構成例(ピッチデック):
- 表紙: チーム名とタイトル
- 課題 (Problem): 誰が何に困っているか(共感を呼ぶ)
- 解決策 (Solution): 私たちの提案(プロトタイプを見せる)
- 技術的裏付け (Technology): どうやって動いているか
- 効果 (Benefit): それによってどんないいことがあるか
- まとめ (Conclusion): 熱意を伝える
3. 資料作成のポイント
- 1スライド1メッセージ: 情報を詰め込みすぎない。
- ビジュアル重視: 文字を読むプレゼンは退屈です。図や画像を効果的に使う。
【第14回 課題】発表資料(β版)とプロトタイプ提出
テーマ: アウトプットの作成
内容: 最終発表で使用するスライド資料(案)と、プロトタイプ(画像やURL、動画ファイルなど)を提出してください。講師からフィードバックを行います。
第15回: 最終発表会(Demo Day):DXへの第一歩
1. 最終プレゼンテーション
各チーム5分間(発表3分+質疑応答2分)で、渾身のDX企画をプレゼンします。これは単なる授業の発表ではなく、投資家や上司に提案する「ピッチ」の練習です。自信を持って堂々と話しましょう。
2. 評価基準
発表は以下の観点で評価されます。
- 課題の鋭さ: 「確かにそれは困っている!」という共感性。
- ソリューションの独創性: 技術をうまく活用できているか。
- 実現可能性: 絵に描いた餅になっていないか。
- プレゼン力: わかりやすく、熱意を持って伝えられたか。
3. 相互評価(ピアレビュー)
他のチームの発表を聞き、「良い点」と「改善点(もっとこうすれば良くなる)」をフィードバックシートに記入します。他者のアイデアから学ぶことも重要な学習です。
4. 総括と今後のロードマップ
このプロジェクト演習で皆さんが体験した「課題発見→企画→プロトタイピング→発表」というプロセスこそが、社会でDXを推進する実際のプロセスそのものです。
Next Step:
- 今回の企画をブラッシュアップして、学内の「ISCプログラミングコンテスト」や外部のハッカソンに応募してみる。
- 興味を持った技術(AIやクラウドなど)の資格取得に挑戦する。
- ポートフォリオに今回の成果物を掲載し、就職活動でアピールする。
DXの旅はここで終わりではありません。ここからがスタートです。
【最終提出物】プロジェクト最終成果物一式
テーマ: ポートフォリオへの登録
内容:
- 最終プレゼンテーション資料
- プロトタイプデータ(またはスクリーンショット集)
- プロジェクト振り返りシート(個人作成:チームでの貢献内容、学んだこと、反省点)